今からちょうど6年前の2015年には関東・東北豪雨が発生し、9月10日には鬼怒川が決壊して茨城県常総市での洪水被害が大きくなりました。
当時、私は前職の総務省消防庁に在職中で、決壊前夜には緊急の宿直に入っており、雨が降り止まずに水量が増していく状況に戦々恐々としていました。
当時の様子を天気図で振り返ってみたいのですが、
鬼怒川が決壊した9月10日の実況天気図(いずれも午前9時)は次のうちどれだと思いますか?
①台風18号接近前に前線が形成されているとき
②台風18号が上陸したとき
③台風18号(温帯低気圧に変化)が離れたあと
台風18号が関係していますが、位置関係で考えてみてください。
正解は、
③台風18号が離れたあと
だったんです。
もちろん、①台風接近前と②台風上陸時にも東海地方などで大雨となりましたが、さらなる大雨となって被害が深刻化したのは、③台風が離れた後になっています。
当時の気圧配置を読み解いていくと、台風18号(温帯低気圧に変化)だけでなく、はるか東の海上にあった台風17号も関係しています。
台風18号が温帯低気圧に変わって日本海に抜けた後は、湿った空気を東へと運んでいたのですが、本州を挟んで反対側に位置していた台風17号が湿った空気を西へと運んでいました。
2つの方向からの湿った空気がぶつかったことで線状降水帯が発生し、直下に当たる関東から東北にかけて大雨をもたらしました。
これが、関東東北豪雨において、台風18号が離れた後に大雨となったメカニズムです。
当時は、「台風も日本海に抜けたことだし、次第に雨も収まるだろう」と楽観視していたのですが、甘かった。
気象予報士として、より深く知識を身に着けるべきだと反省した気象災害でした。
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