九州南部は5月11日に梅雨入りとなり、平年・昨年より19日早い梅雨入りとなっています。
なお、今年の梅雨入りに関して、ある数値が変わっているのですが気づきましたか?
すでに3月に気象庁からプレスリリースが発表されているので、知っていた方も多いかもしれませんね。
その数値とは「平年(値)」です。
平年値が更新されるのは5月19日からですが、「梅雨入り」は新旧平年値の切り替え期にやってくるので、他のデータに先行してすでに新しい平年値に更新されています。
「平年(値)」とは?
よくニュースや天気情報の中でも「平年」という言葉が使われますが、これは気象庁の予報用語です。
具体的な定義がこちら。
平年(値)
平均的な気候状態を表すときの用語で、気象庁では30年間の平均値を用い、西暦年の1位の数字が1になる10年ごとに 更新している。
気象庁が天気予報等で用いる予報用語(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/mokuji.html)
平年(値)とは、気温や降水量などの30年平均のことで、今年がちょうど10年ごとの更新年に当たります。
似たような用語で「例年」もありますが、気象庁の予報用語に掲載されているものの、数値などの具体的な定義がなく、口語的な表現といえるでしょう。
平年(値)をとっている項目は、
○ 地上気象観測・アメダス
気温、降水量、日照時間、積雪の深さ、風向、風速、湿度、気圧等
○ 高層気象観測
指定気圧面ごとの気温、湿度、風向、風速等
○ 生物季節観測
うめの開花、さくらの開花・満開、あじさいの開花、すすきの開花、いちょうの黄葉・落葉、かえでの紅葉・落葉
○ 梅雨入り・梅雨明けの時期
○ 台風の発生・上陸・接近数
など、多岐にわたっています。
ちなみに、九州南部の梅雨入り・梅雨明けの新平年値は、
梅雨入り:5月30日(旧平年日は5月31日)
梅雨明け:7月15日(旧平年日は7月14日)
どちらも1日ずつ前後にずれたため、梅雨の期間は2日間伸びています。
なお、「春一番」や「木枯らし1号」の平年値の発表はありません。
毎年必ず観測されるわけではなく、基準も地域ごとに異なるためかもしれませんね。
全国の平年値の変化
気象庁のプレスリリース内の資料では、平年値の変化傾向が出されています。
平均気温が上昇したことに伴い、ほとんどの地点で1年を通じて平年値が高くなっています。
1か所だけ青く目立っている地点が「岡山県岡山」で、2015年に観測場所が移転したことが影響しているようです。
また、気温の平年値が高くなったことで、真夏日・猛暑日・熱帯夜の日数が増えて、冬日の日数が減っています。
さらに、降水量の変化ですが、夏から冬にかけて西日本を中心に増えたことが分かります。
宮崎の平年値の変化
全国の様子から見ても、宮崎の気温と降水量の平年値は上昇・増加していることが分かるので、宮崎の平年値の変化を月ごとにグラフに表してみました。
中央の線が旧平年値(1981年から2010年までの平均)で、新平年値(1991年から2020年までの平均)がプラス・マイナスのどちらに変化しているかを示しています。
平均気温(宮崎市)
平均気温は年間で+0.3℃となっていて、梅雨時期(6月~7月)と12月を除いて大幅に高く変化しています。
特に10月の平均気温の上昇度が高いので、秋の深まりが遅くなっていると言えるでしょうか。
紅葉が遅くなっている可能性がありますね。
降水量(宮崎市)
旧平年値を100%としたときの降水量の変化の度合いを%で表したものです。
年間での増減率は+5%程度ですが、梅雨時期(6月~7月)の降水量が増えたことで全体の数値が底上げされたように感じます。
今回の更新で、平年値がより肌感覚に近いものに変わってくるのではないでしょうか。
コメント