毎週のネタを考える際に、当然ながら天気や気象をベースにして検討するのですが、簡単にネタが出てくるわけではないのです。
なかなか思いつかないときに参考にするのが漢字辞典!
けっこう頻繁に引いてます。
季節に関する漢字を調べているうちに、ある疑問が湧き上がってきました。
「春日」と書いて、なぜ「かすが」と読むの?
今まで当たり前のように「かすが」と読んできましたが、よくよく考えてみると謎の読み方です。
春を使った難読漢字として「春原(すのはら)」という読みがありますが、これは「春原荘(すんのはらしょう/しゅんのはらしょう)」という戦国時代までに存在していた荘園の名称に由来しているので、「しゅんの」→「すんの」→「すの」と読み方が変わってきたことが納得できます。
ただ、「春日(かすが)」の場合は別の理由がありそうなので、由来を調べてみました。
元々「かすが」は地名で、現在の奈良県の春日大社のあたりのことを差すようです。
また、「春日」を「かすが」と呼ぶようになった時代は古く、万葉集の長唄の中でも
「春日(はるひ)を春日(かすが)の山の…、」
などと詠まれ、古代から定着していたようです。
現存する最古の和歌集である、万葉集が編纂された奈良時代までさかのぼっても「春日」=「かすが」だったのですが、「春日」の読み方の謎を解くカギは、和歌の表現方法にありました。
それは、「枕詞(まくらことば)」です。
「特定の語句を導き出すために置かれる言葉」のことで、
たとえば、
「ちはやふる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに 水くくるとは <在原業平>」
の場合、「ちはやふる」が枕詞になって「神」という言葉を導き出しています。
映画のタイトルにもなったので、最も有名な枕詞かもしれませんね。
個人的に1番覚えている枕詞を含んだ和歌は、
「茜さす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る <額田王>」
で、「茜さす」が枕詞で「紫」を導いている和歌でしょうか。
国語の授業で覚えた気がするので、初めて知った枕詞かもしれません。
ちょっと艶っぽい歌なので、インパクトがあったのでしょうか(笑)
さて、枕詞がポイントだと分かったところで、あらためて「かすが」に戻りましょう。
古代では、地名の「かすが」を表現する際に「春日」を枕詞にとって、
「春日(はるひ・はるのひ)のかすが」
と呼んでいたことで、いつしか「春日」と「かすが」が混同し、「春日(かすが)」と読むようになったようです。
また、地名の「かすが」は、
「霞がかかるところ」の「霞処(かすみが)」
「神が住むところ」の「神住処(かすか)」
などに由来しているようなので、神聖な場所のようにも感じられます。
奈良時代の都、平城京にとって春日大社は東に位置しているので、太陽が昇る方角にも当たります。
きっと「春日(はるひ)」の枕詞を付けるにふさわしい、特別な場所だったんでしょうね。
ちなみに、「飛鳥(あすか)」や「日下(くさか)」の読み方も枕詞に関係していて、
「飛鳥(とぶとり)の明日香(あすか)」
「日下(ひのもと)の草香(くさか)」
から、由来しているようですよ。
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