「藤の家紋」の由来とは?

自然

以前、蘇我氏の活躍していた時代について書かれた新書を読んでいたときのこと。

蘇我氏と同時期に活躍した豪族・葛城氏は、つる性の植物のように長く繫栄することを願って自らの氏に「葛」を取り入れた

というような記述があったので、そのうち植物の性質と名前との関係をネタにしようと思っていました。

そこで目にしたのが、つるを伸ばし枝垂れるように咲く「藤」の花。

生物季節観測の対象だった「ノダフジ」は今年から対象外になってしまったのですが、ノダフジの開花のタイミングは、ソメイヨシノの満開の少しあとぐらいです。

さて、「藤」に関係している名前と言えば、

藤原氏

が思い浮かびますね。

平安時代に摂関政治の全盛期を現出した藤原道長が有名ですが、乙巳の変の中心人物だった中臣鎌足(のちの藤原鎌足)が出生地にちなんだ藤原姓を賜ったことが、藤原氏の家系の始まりです。

ここで、「藤原」は地名に由来している姓、ということが早くも判明してしまったので、当初考えていた「植物の性質と名前の関係をネタにまとめる」というシナリオはもろくも崩れ去ってしまいました…。

ただ、姓と同様に家系を表すものとして、

家紋

がありますね。

藤原氏の家紋は、つるを伸ばして生長し、花が枝垂れて咲く様子を表現した「下がり藤」です。

「下がり藤」の家紋

藤原氏の氏神である春日大社でも、「下がり藤」が使われていますね。

春日大社について | 春日大社
ご由緒春日大社のはじまり神山である御蓋山ミカサヤマ(春日山)の麓に、奈良時代の神護景雲2年(768)、称徳

ベーシックな「下がり藤」以外にもアレンジされた家紋もたくさんあるのですが、ありすぎるので紹介するのはやめておきます。

そして、家紋に込められた意味は、やはり藤という植物の性質に関係していました。

つる性の植物に共通している特徴なのですが、巻き付くように生長し、つるを伸ばしてどんどん育つので、強い繁殖力を持っています。

このことから、子孫繁栄や長寿につながると考えられました。

宮崎神宮の藤

また、藤の咲く様子が稲穂が実った様子にも見えたことから、豊作を連想させました。

確かに豊作感はある。左上に写り込んでいるのはコガネムシかな。

さらに、咲く様子自体も美しい(家紋映えする)こともあって、家紋のデザインに取り入れられてきたようです。

藤だけでなく、様々な植物が家紋に取り入れられているので、調べてみると面白そうですね。

酒井家の家紋もいずれ調べてみよう。

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