九州南部では、梅雨入りの機運が高まったと思ったら梅雨前線がなかなか北上せず、今日も安定して晴れていますね。
いずれは梅雨入りするとは思いますが、梅雨入りが特定されなかったことがあるのはご存知ですか?
気象庁では、1951年から梅雨入り・梅雨明けの統計を取っており、
こちらのページから各地域・各年の日付を確認することができます。
この中で梅雨入りの発表がなかったのが、1963年の「近畿地方」「四国地方」のケースです。
1963年は、沖縄地方以外での梅雨入りは比較的早かったものの、近畿地方・四国地方だけは時期がはっきりせずに特定することができませんでした。
ちなみに1963年の各地の梅雨入り日はこちら
梅雨入りのトップが東海地方で、ゴールデンウィークに梅雨入り。
周辺地域でも梅雨入りした後、奄美地方で梅雨入り。
東北で梅雨入りが始まってから沖縄が梅雨に入るという、南から順当に梅雨入りしない、異例の展開となっています。
なぜ、梅雨入りを特定できなかったのか、いろいろと調べてみたところ、
「4月半ば以降は天気がぐずつく日が多くて、梅雨入りのタイミングがはっきり特定できなかったのでは」
といったコメントに辿り着いたので、実際の観測データから読み解いていきたいと思います。
月降水量の多寡から判断できるかと思ったのですが、雨が降った日数が少なくても一雨の降水量が多いことがあり、
降水量の数値が跳ね上がってしまうので、判断には適さない観測項目です。
そこで注目したのが日照時間です。
ここで、梅雨入り直前の時期の5月の日照時間が短ければ、
「梅雨入り前からぐずついていて、梅雨入りのタイミングが判断できなかった」
という状態を証明できそうですね。
まずは、近畿地方と四国地方の代表地点として、大阪と高松の1963年5月の月日照時間を調べてみました。
大阪(近畿)… 72.1時間(観測史上最少)
高松(四国)… 101.5時間(観測史上最少)
思ったとおり、極端に日照時間が少なくなっていたようです。
せっかくなので、全国の様子を調べてみました。
梅雨入りを観測している地域だけを調べたいので、北海道は除きます。
まずは北日本から。
東北最南端の福島で日照時間が短いものの、東北地方の北部では、日照時間は平年より長くなっていますね。
つづいては東日本。
日照時間は平年の3割から5割程度にとどまり、ほとんどの地点で観測史上最少の日照時間となっています。
梅雨入りが発表されなかった地域を含む西日本ではどうでしょう。
西日本でも東日本と同様の傾向で、広い範囲で観測史上最少の月間日照時間となっていますね。
最後は南西諸島の沖縄・奄美地方。
傾向がガラッと変わって、沖縄や奄美では記録的な日照時間の長さとなっています。
本来は梅雨に入っているはずの那覇では、平年の2倍以上の日照時間を記録しています。
こうしてみると、1963年5月は東日本から西日本の広い範囲で天気がぐずついていて、南西諸島では晴天続き。
東海地方などでは早めに梅雨入りの判定ができたものの、四国地方・近畿地方だけは梅雨入りの区切りをつけることができなかった、
ということが実際の気象状況だったのかもしれませんね。
なお、梅雨入りの発表はあくまで速報値で、最終的な確定値が9月に発表されます。
それでも特定できなかったのだから、よほど曇天・雨天がつづいていたのでしょうね。
今年は1963年の状況とは異なり晴れる日が続いているので、遅くはなるものの、いずれ梅雨入りするのではないでしょうか。
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